eスポーツ大会を開催する際に問題となる法律
1:著作権法(大会で使用するタイトルのゲームメーカーに承諾を取らないと違法)
2:賭博罪(参加費を使って賞金を用意すると違法)
3:風営適正化法(会場でゲーム機を使う大会を行うと違法) ※施設を使って開催する場合のみ適応
4:景品表示法(10万以上の賞金を出すと違法) ※ゲーム提供関連会社のみ適応
個人、及び企業(ゲーム提供関連会社を除く)が賞金付きのeスポーツ大会を開催する場合、主に著作権法と賭博罪が問題です。また、施設を使って大会をする場合は風営法(風営適正化法)も問題になってきます。下に細かい内容を記載しますので、大会を開く際の参考にして下さい(4はユーザーに関係ない可能性が高いので省きます)。
・著作権法とは
著作権法とは、著作物(思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの)を著作者(著作物の製作者)以外が無断で使用することを制限する法律です。
・eスポーツ大会を無断で開催すると何故問題なのか
ゲームの映像が「映画の著作物」(著作権法10条1項7号)、ゲームのプログラムが「プログラムの著作物」(著作権法10条1項9号)に該当し、これを無断で利用すると民事責任として差止請求、損害賠償請求、不当利得返還請求、名誉回復措置を命じられるおそれがあり、刑事責任として「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金」またはその双方を併科されるおそれがあります。
・合法的に行うには?
ゲームメーカーから利用許諾を貰いましょう。また、「ネットワークサービスにおける 任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」のようにガイドラインが定められていることもあるので、それを参考に行うと良いでしょう。
「eスポーツ大会における知的財産権(著作権・商標権等)の注意点」に詳しく記載されていますので、一読をお勧めいたします。
・賭博罪とは
賭博罪とは「偶然の事情に関して財物を賭け、勝敗を争うこと」を規制する刑法です。
・eスポーツ大会で参加料を取ると何故問題なのか
参加費を徴収している点、ゲームの勝敗は実力だけでなく運による部分も大きい点が問題です。見方によれば偶然で勝敗が付く勝負に参加料を徴収し、主催者がその一部を利益としてもらい受け、残りを賞金として受け渡すこの状況は「賭博」そして認められてしまいます。また、これに違反すると選手に対しては賭博罪(刑法185条)、大会主催者に対しては賭博場開張図利罪(刑法186条2項)が適用されます。
・合法的に行うには?
参加料を取らない、もしくは賞金が第三者から提供される資金のみ、もしくは参加料を賞金に回さずイベント運営費等にのみ使う場合は「賭博」にはなりません。個人的には、参加料無料でスポンサーからの提供金のみを賞金にするのが無難だと考えます。
「eスポーツ大会の高額賞金に関する法律問題(賭博罪・景品表示法違反など)」に詳しく記載されていますので、一読をお勧めいたします。
・風営適正化法(風営法)とは
風営法とは、風俗営業の健全化と少年の健全な育成のために、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制する法律です。
・eスポーツ大会を施設で開催すると何故問題なのか
風営法第2条第1項第5号に「➀店舗その他これに類する区画された施設に、スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができる遊技設備が存在すること、➁遊技設備により客に遊技させる営業を行っていること」と定義されており、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則第3条第2号でテレビゲーム機が「射幸性をそそる勝敗を争うもの目的のもの」と定義されているので、違法になる可能性があります。これに違反すると刑事責任として「最大2年の懲役、若しくは最大200万円の罰金」またはその双方を併科されるおそれがあります。
・合法的に行うには?
オンラインで行いましょう。実際には、テレビゲーム機をプレイする"場所"のみの提供であったり、インターネットカフェとして運営している場所であれば風営法の適用外になる可能性がありますが、無難にオンラインでの大会開催が一番安全で簡単です。
「eスポーツ施設と風営法 どのような場合に風営法違反になるのか」に詳しく記載されていますので、一読をお勧めいたします。